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SV ユーザーズマニュアル

SVの簡単な使用法は以下のようになっています。

Windows版の起動

  1. スタートメニューの SV-Cavity の中にある、SV を選択します。UNIX版と同様、コマンドプロンプトから使用することもできます。
  2. 起動したら、データファイルを SV のメインウインドウに drag & drop で投入します。これで座標データが読み込まれます。あとの処理は UNIX版と共通です。
  3. また、Windows では、 cygwin-X11 版の SV を使用することもできます。こちらの操作は UNIX版と全く同じです。UNIX版の操作に慣れている方はこちらがお勧めですが、これから新たに操作を覚えるには少々面倒かもしれません。

UNIX版の起動

MacOS X版、Windows版(Cygwin-X11版) もこちらになります。

  1. MacOS X で使用する場合にはあらかじめ X11 サーバーを起動しておきます。
  2. 起動はターミナルソフトから行います。まず、カレントディレクトリを SHELX の出力ファイルのある ディレクトリに設定して下さい。必要なファイルは shelxl.res(SHELXL-93/97)、 shelxs.res (SHELXS-86) です。
  3. ここで sv filename と打って return キーを押すと SV が起動します。 filename は 省略可能で、その場合は shelxl.res, shelxl.ins, shelxs.res, shelxb.out の順でファイルが検索されます。
  4. exit または quit を入力するか、メニューより Exit を選択する ことにより SV は終了します。

起動後の基本操作

  1. 起動し、データファイルが読み込まれると、自動的に結合情報が計算されます。読み込まれた時点では、対称要素の処理は行われず、読み込まれた座標データのまま原子が表示されます。従って、分子が対称要素上に存在する場合には、分子の一部のみが表示されます。
  2. 読み込まれた原子座標の重心が画面中央になるように表示されます。座標軸は、画面右方向が x軸、上方向が y軸、手前方向が z軸となります。通常、左下にL字形のスケールバーが表示されており、z=0, x軸、y軸方向に各1Åとなっています。
  3. モデルが表示された状態で rotate、shift などの操作が可能です。キーボードで操作する場合には、カーソルキーの左右、上下がそれぞれ x軸まわり、y軸まわりの回転に相当します。 マウスによる操作も可能になっています。 その場合、左ボタンは select, 中ボタンが shift, 右ボタンが rotate に 対応しています。また、 左ボタンを押しながら ドラッグすることにより 複数の原子を同時に選択状態にすることができます。 [参照] Select
  4. マウス操作を含む大部分の操作は自動的に log file に記録されます。この記録を読み込ませることで、定形操作を行うことができます。(簡易マクロ機能)[参照] Macro

解析の初期でよく使う操作

電子密度のピークの表示
"peak 数" 命令を使用します。決定されている原子が少ない場合には自動的にピークが表示されますが、そうでない場合、数を指定してピークを表示します。
結合距離の表示
解析の初期段階においては、原子間距離や角度、電子密度などが必要になります。メニューの [View] - [Bond Length] を "on" にすると、各結合距離が図中に表示されます。(コマンドで行う場合には "in bl") また、原子(又はピーク)を選択すると、その原子に関する情報が表示されます。複数原子を選択することで、結合角、ねじれ角の計算を行うこともできます。また、"bond 原子名 距離" を使用すると、指定した原子から一定の距離内にある原子及びピークの一覧を得ることができます。
原子ラベルの表示・非表示
"in lb"/"om lb" で行います。また、"in ll", "in afix", "in dfix", "in cell" で、それぞれ対称要素の表示や AFIX/DFIX束縛条件の表示、単位格子の表示などができます。
原子の表示・非表示
"in 原子名"/"om 原子名" で行います。また、"om sl" で選択済の原子を隠します。"in fr 番号"/"om fr 番号" で部分構造(分子など)を単位に表示/非表示を行います。

結晶構造図(Packing Diagram) の描画

  1. 結晶構造図は pack 命令により描画することができます。pack 命令を引数無しで実行すると、単位格子±0.1 の領域に含まれる原子が描画されます。引数を1個つけると 単位格子±引数 分の描画が行われます。
  2. 描画範囲を細かく指定したい場合には、引数6個の pack 命令で行います。引数はそれぞれ a軸方向の下限、上限、同 b軸、c軸、となります。引数なしの pack 命令は pack -0.1 1.1 -0.1 1.1 -0.1 1.1 と等価です。
  3. 分子結晶の場合、描画の際に分子が分断されるのが好ましくない場合があります。この場合、予め pack 命令で広範囲を描画しておき、pack2 命令で範囲を絞りこむと便利です。pack2 命令は分子の一部が単位格子にかかっていない場合に、表示から取り除く命令です。ex) "pack 1" のあと、"pack2" [参考図]
  4. 1次元鎖の場合など、「分子」の単位でうまく構造が切りとれない場合には、やはり大きめな範囲を表示しておき、原子(群)を選択、消去する方法が便利です。例えば、"pack 1" の後、余分な分子の断片を 範囲指定や Ctrl+左クリックで選択し、om sl 命令で選択した原子を隠すのが簡単です。omit命令(om) のほか、様々な命令で "sl"(選択された原子群) の指定が可能です。
  5. 原子ラベルが邪魔な場合には omit label (om lb) で消すことができます。

各種投影図の作成

  1. 結晶構造図の a 軸投影図を描画する場合には、"view a" とすることで投影方向を決定することができます。また、 view 1 1 0 とすることで、<110> からの投影を行うことができます。
  2. depth 命令で投影距離を有限の値に設定することができます。depth命令では、投影距離の指定は相対距離で指定します。距離を直接指定する場合には depth a 距離 とします。投影距離を 0に設定(depth a 0)すると無限遠からの投影になります。投影位置の手前側に原子があると表示が乱れることがあります。
  3. ステレオ図を描画するときには "stereo" を使用します。戻すときには "mono" です。2つの図の間隔を調整したいときには stereo 5 などと指定することができます。(単位は図中のÅ)

ORTEP図の描画、計算

  1. 原子の熱振動を解析するのに ORTEP図がよく使用されます。ORTEP図の描画には "ORTEP3" 命令を使用します。原子が全く選択されていない状態では、全ての原子は楕円体の外縁のみが描画されますが、原子を選択しておくと、その部分だけ、8分割楕円体で描画されます。また、"ORTEP3 2" などとすることにより、水素原子のみ実際の熱振動パラメータにかかわらず、小さな円として描画することができます。この例では、Biso=2 に相当する円で描画されます。SV側からは ORTEP プログラムの制御は行いませんので、細かい操作は ORTEP側で行うことになります。

cavityの描画、計算

  1. 結晶中の空間「反応空間」の描画、計算には cavity を利用します。Windows版バイナリを使用した場合には cavity プログラムも同時にインストールされています。
  2. まず、反応基部分の原子を選択します。選択した原子の周囲の空間が計算されます。
  3. "cavity" 命令を実行すると、計算条件設定画面が表示されます。計算範囲、体積計算のメッシュの大きさ、などを設定して計算を行なって下さい。計算結果は cav.ps ファイルに書き出されます。SV は cav.ps ファイルを読み込んで描画します。投影方位は、表示されているものがそのまま使用されますので、予め方位を設定し、必要に応じて再計算して下さい。出力される cav.ps ファイルは PostScript で書かれていますので、そのまま PostScript Printer に印刷することもできます。 Windows 版では、計算条件設定画面に Preview がありますので、その画面を Copy & Paste することで他のソフトウェアに貼りつけることができます。